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杉坂研治オリジナルフライ パターン&コンセプト
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Trout Pond Members オリジナルフライ
ビーズヘッド
マラブー
タコ金
T・P
ピューパ
T・P
ピューパ2
ウレタンW
カディス

TPピューパのレッド、ブラックが平均してシーズン中釣れます。

水深は1mいない。ウエイトは無し、フックの重さでゆっくり沈下させます。

ティペットは8X(0.3号)がベスト! 細ければ細いほど良く釣れます! 太くても7X(0.4号)をご使用ください。

ロッドは、#3〜#4がベスト。ドライフライ、マーカーでの釣りには最適で、20cmから70cmの魚まで対応できます。

#5ロッドや#6では、ストリーマやウエットの釣りでベスト!

 


トラウトポンドが生んだ、杉坂研治オリジナルフライ

キンギョちゃん・タマちゃん・エビくん

開発コンセプト!
[キンギョちゃん][タマちゃん][エビくん]というネーミングのこのフライは、トラウトポンドでスレ鱒を相手に開発され、1998年に発表し1999年よりティムコから販売された私のオリジナルパターン。
可愛らしさを強調した形とネーミング。それもさることながら爆発的に釣れてしまうために大ヒットとなったフライである。
[釣れる][釣れない]は実際に試してみなければ解らないために、一見すると良く売れるための「ウケ狙い」。すなわち“可愛らしさのみを表現しただけ”のパターンと安易に思われてしまうことが多いと思う。確かにそう思われるようにわざわざネーミングに「くん」とか「ちゃん」と付けたのもそれを見越してのことであるが・・・。特に、自称エキスパートの方々にこのパターンを見ていただき、「杉坂研治も売名行為としてウケ狙いでこんなフライを出してきたか」と思ってほしい部分もかなり含まれている。本当のエキスパートならこのフライが何を意図して作られたかが解るはずで「にやり」と笑って下さると思ってのこと。
そこで、ここでは特別にその開発コンセプトをお話ししていきたいと思う。
この3種のフライは、「なぜトラウトがフライを口にするのか?」ということの追求から始まっている。いわばフライフィッシングの真髄ともいえるテーマの一つを掘り下げて行った結果、生まれたパターンなのだ。
トラウトがフライを口にする理由として(あくまでも人間側からの考え方であるが)いくつかに分類することができる。
一つ目は、マッチ・ザ・ハッチ、またはマッチ・ザ・ベイトとする場合。
その時、トラウトが好んで食べているエサに似せたフライパターンで食べさせる、いわば食欲に訴える釣り。この場合トラウトは、フライをエサと誤認して口にしているはずである。
二つ目は、リアクション・バイト(反射食い)としてくくられる場合の捕食。
食欲ではなくトラウトの好奇心などに訴え、イレギュラーな動きを与え反射的に食わせるという方法がある。
 数年前になるが、ある日のこと、一つの疑問が生じたのである。
養鱒場からトラックで河川に放流された鱒は、コンディションが整うと同時に流下する水生昆虫を捕食し始めること。当たり前のようなことではあるが、よくよく考えてみるとその鱒たちは人工飼育であり、卵の時からペレットで育てられたはず。ペレットしか食べたことがない鱒が一般河川に放流されるとペレットがないために餓死をする個体が見受けられても良いものである。しかし、そのような個体を見る事はない。そこで、なぜ水生昆虫をエサと認識して食べるのかが疑問となったのである。
すぐさま脳裏に浮かんだことは、養鱒場の水路である。すなわち養鱒場に引き込まれる河川水の中に水生昆虫が混入し、幼魚の時からそれを捕食していたために一般河川に鱒が放流されても水生昆虫を認識しており、すぐさま捕食し始めると言うことが考えられた。
その疑問を解決するために私は水産試験場にお願いし、卵の時から外界と 遮断された100%地下水使用の無菌施設で育てられた鱒を100?購入し、放流後の状態を観察したのである。結果は通常の養殖魚と同様で、早いもので半日たらず、ましてや2日目ともなるとほとんどの鱒が水生昆虫を捕食し始めたのである。
そのことから考えていくと、鱒は「水生昆虫だから、小魚だから、ペレットだから食べるのだ」という考え方は、人間の(釣り人の)エゴイズムであり、実は彼らはそのような区別で捕食しているのではないと考えられる。
すなわち、目の前にある物が「これは食べられる」と経験や学習だけで判断しているのではなく、それ以前の問題で、「食べ物として」または「食べたくなってしまう物」としての信号を読みとって口にするかどうかの判断をしていることが解る。
鱒が何を基準に捕食行動を起こすか又その要素は何であるかが、フライフィッシングをしていく上で大切な鍵となり、その鍵を含ませるフライパターンが[釣れるフライの一つの条件]となっている。
いろいろなことを実験してきた結果、私が思うにその鍵は(フライフィッシングにおいて)、サイズ、質感、透過性、動き、カラーなどとかんがえている。
キンギョちゃん、タマちゃん、エビくんは、特定の餌生物をイミテーション(マッチ・ザ・ハッチまたはマッチ・ザ・ベイト)したフライパターンではない。また、アトラクターフライ(リアルアクション・バイトをさせるフライ)でもない。これぞ鱒が「食べられる物」または「食べたくなってしまう物」として認識してしまう鍵を十二分に含ませ表現したフライであり、食欲を誘発させるフライなのである。
このパターンを開発する途中で、同じような鍵を含ませナチュラル・カラー(グレー、ブラウン、タンなど)をメインにしたパターンも数多く制作した。しかし、本当に鱒がそれを水生昆虫として捕食してくると思われないものにレッグやテールを付け、見た目のみの[何々カゲロウ]とするよりも、逆に派手なカラーで可愛らしいシルエットに変形させ、同じ効果かまたはそれ以上の効果が得られる鍵をさらに入れ、しかも可愛らしいネーミングにした方が面白さが増すはず。堅苦しい横書きの多い釣り方と思っている方も、もっと気軽に楽しく行え、大切な休日を楽しく過ごしていただけるであろう。という考えからこのフライは生まれたのである。
釣り場で「どんなフライで釣れた〜」という声が聞こえたときに「何々カディスのピューパ」の答えが聞こえたとする。そこで本当にその水生昆虫がハッチしていればマッチ・ザ・ハッチとなるために、それは最高の面白さにつながるが、ハッチが全くないような状態ならば、始められたばかりの方にとっては宇宙語ともとられてしまいそうな慣れない言葉よりも、横丁のアンちゃんや有閑マダム、そしてギャル達までが面白がってくれそうな「キンギョちゃ〜ん!」の方が面白いと思いませんか!可愛いだけではダメですけど。

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そこで、各フライについてのコンセプトとなる部分の説明をしようと思う。

タマちゃん

このフライは、ボディにレッドワイヤーを巻き(0,3mmをシャンクに5巻きが平均ウエイト)そしてエッグヤーン(3分の1くらいの量)をテール側に取り付ける。シャンクに巻かれたワイヤーの上に後方からストレッチフロスをしっかりとアイ近くまで巻き、エッグヤーンの先端をアイ近くへ持っていき360度むらなく全体にヤーンが被さる状態にしてスレッドで止める。[ちょうちん]のように中が中空で表面がヤーンの状態にする。
そこで大切なのはヤーンの量である。水中に入れたときヤーンが透けてコアーのストレッチフロスがうっすらと見える状態がベストの量。すなわち沢山付けないことが大切である。マユのような状態に見えるはず。
水中に入れると“透過”し、半透明の物体の中に見える“クッキリとしたカラーのコア”、さらにはウエイトの量による“沈下速度”が鍵となる。そこで魅了された鱒は口に含んで食べられる物かどうかを確かめにくる。その時、ちょうちんのように中空となっているために“質感”が良く、かなり長い時間口に含んでいるために、フッキング率が向上する事までを考慮したパターンである。
下手をすると飲み込んでしまう危険があるので、アタリが出た場合は速やかにフッキングをしたい。
カラーは,ホットオレンジ、シャートリューズ、ピンク、イエローなどコアの部分は同色または全くかけ離れた色を使用する場合もあります。

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【キンギョちゃん】

これもタマちゃんと同様で、背中部分に使用している繊維の横部分を見せるヤーンの質感と透過性、そしてフレアーさせたボディーの質感、2色のカラーリングが鍵であることが[タマちゃん]の記述よりお解りと思うが、この[キンギョちゃん]はそれ以外にも面白いことがあるのです。
このパターンには見ての通り、アイ(目玉)が取り付けてあり、それが重心部分となっている。しかもシャンクの上で1カ所にウエイトが集中しているために、キャスト時、ラインがターンをするときにオーバーターン(初心者の方が無意識に起こしてしまう事が多いミスキャスト)をさせると不安定となり回転を起こしやすい。すなわちティペットにねじれが少々生じるわけだが、これを逆に利用してフライに動きを与えてしまうのである。
着水し沈下するときは、ウエイトが下側となるためにフライはキール状となり、安定した状態で沈んでいく。そこで沈下のスピードでまず誘いをかける。さらにマーカーとの間のティペットが伸びてフライが沈下し終わり、静止すると同時によれたティペットが元に戻ろうとする力で、フライがクリクリッと2〜3回ほど回転をするのだ。
すなわち、沈下速度で誘い、そこで捕食行動に移らなかったスレ鱒をさらに回転で誘うのである。その補助としてテールが重要となっている。テールはスピードの調整と動き、さらには質感にも一躍買っているパーツ。さらに完全にフライが静止してからロッドティップでチョコチョコとわずかにアクションを加えると、ティペットが結ばれたフックアイと重心のフライアイが近いために微妙なティペットの動きが増大され、テールのマラブーが魅惑的な動きで鱒を誘うのである。
フォーリングで誘うパターンは多いが、たいていは抵抗を減らすために凹凸が少ないカチッとしたシルエットの物がほとんど。沈下するのはスムーズだが、そのかわりフォールした後の動きに乏しく、静止状態でのアピール度は低い。さらには口の中に入っている時間も短くなるのでフッキングまでが悪くなってくる。それに比べキンギョちゃんは、“透過性”と“カラー”さらには“質感”を持たせたうえに、フォール中のスピードで誘い、さらには沈下し終わった後の前述した回転の誘い、その上、静止状態に入ってからのマラブーで誘う“動き”という鍵をさらに強調したパターンである。

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【エビくん】もキンギョちゃんと同様のコンセプトで作られ、シルエットのスレを防ぐために形を大きく変えた物である。


このフライを発表した直後、「養殖鱒だから釣れるんだよ」とか「ペレットの沈下速度に似てるから釣れる」といっている方の言葉を耳にし、昨年イエローストーンへ行ったとき、いの一番にその効果を本場のネイティブなトラウトで試してみた。
結果は爆釣!イエローストーンのレインボーにも[キンギョちゃん]は威力を発揮した。ガイドに「ここの鱒は放流物か」と聞いてみたら怒られてしまったのである。ネイティブだから、あるいは養殖鱒だからということではなく、このフライパターンは鱒本来が持つ食性に訴える要素があるのだと実感した。

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【マーカーフィッシングというジャンルについて】
フライフィッシングにはいろいろなジャンルが存在する。ドライ、ウエット、ニンフ、ストリーマーなどがあげられるが、それと同じくしてマーカーフィッシングというジャンルを認めるべきと私は思う。とかくマーカーは初心者の釣り方と小馬鹿にする自称エキスパートの方々がいるようだが、以前は私もその一人で、マーカーなんて使わなくてもティペットの動きでフッキングができると思っていたが、この世界そんなに甘い物ではないと痛感したのである。
マーカーの釣りは、鱒の動きが目に見えない。私が得意とするサクラマスのストリーマーやウエットフライの釣りと同様に、水中のフライの動きを頭の中で想像しながら狙っていく。マーカーの動きを通して水中のトラウトの動きを推察し、天気、水の色を考慮しながら作戦を立てていく。かなり奥が深い世界である。
ただ数釣りにとらわれることなく、鱒の活性が低い時期、時間に安定した釣果を得るための、楽しみ方のバリエーションとしてとらえていけばいい。
[キンギョちゃん][タマちゃん][エビくんは]マーカーを使用することを前提にしたパターンでもある。
前述したフライが沈下し終わった後の回転運動も、マーカーなしでは不可能なのだ。

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